頑張らなくても回る仕組み

と 誰も教えてくれない

現場の工夫

食品工場 HACCP 記録が続かない

「認証を取った時はあんなに頑張ったのに、気づけば書類が溜まっている…」 

「現場に『記録をつけて』と言っても、めんどくさがって後回しにされる…」

食品工場の社長やHACCP・JFSの担当者の方から、「食品工場でHACCPの記録が続かない」という

お悩みを本当によく伺います。

実は、これ「うちの従業員の意識が低いから」ではありません。


実際に農林水産省の調査でも、食品製造業では「研修の時間がない」「管理手順が複雑」「導入手続きが大変」といった声が多く挙がっています。


つまり、多くの工場が困っているのはHACCPそのものではなく、「続ける仕組みづくり」です。


記録が続かないのは、従業員のやる気の問題ではありません。

現場に合った仕組みになっていないことが、本当の原因なのです。

(出典:農林水産省「食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査」)

 

今回は、現場改善サポーターの視点から、記録が続かない現場のホンネと、明日から現場が楽に回り出す「1歩プラス」の解決策、「誰も教えてくれない現場の工夫」をお伝えします。

1. 現場のリアルな叫び。

「記録が続かない」

現場のホンネ

「記録をつけてくれない」と悩む社長に、まず知ってほしいことがあります。それは、現場のパートさんやスタッフの目線に立ったとき、そこには「書けない、書きたくない明確な理由」が転がっているということです。

私がこれまでたくさんの現場を歩いて聴いてきた、従業員の皆さんのリアルな叫びがこちらです。

  • 「そもそも、文字が小さすぎて見えない!」
  • 「『これ書いて』って急に言われただけで、何のために書くのか説明されてない」
  • 「いざ書こうと思っても、近くにペンがない。挟む紙(記録用紙)もない」
  • 「書き方がめんどくさい。これじゃ仕事の邪魔になる…」

 

いかがでしょうか?現場からすれば、ただでさえ日々の製造に追われて忙しいのです。そこに「使いづらい道具」と「目的のわからない新しい仕事」が降ってきたら、後回しにしたくなるのは当然ですよね。

2. 頑張らなくても回る!

カスタマイズ

では、どうすれば現場が自ら記録をつけてくれるようになるのでしょうか? 

 

答えは、「書く人に合わせて記録(用紙や仕組み)を作る」ことです。

 

立派なコンサルタントが持ってきた綺麗なマニュアルをそのまま配っても、現場には馴染みません。

 

 

商品開発と同じで、「1回で完璧な記録用紙が完成するはずはない」のです。

 

 

大切なのは、現場で実際に書く一人ひとりに、何度も

「これ書きやすい?」「どこが引っかかる?」と意見を聴くこと。

 

 

そうして、その現場のメンバーに合わせて「カスタマイズ」していきます。

 

 

現場の意見を取り入れて用紙がアップデートされていくと、スタッフの中に

「これは自分たちの意見で作られた、私たちの記録用紙だ」という愛着と認識が生まれます。

この「当事者意識」こそが、自走する現場への第1歩です。

3. 明日からできる!

「秘密の設定」

具体的に、記録用紙や現場の環境をどう変えればいいのか。

明日から試せる「超・現場目線」のマニアックな工夫をご紹介します。

本や教科書ではあまり教えてくれない、現場の指先のストレスを無くすためのルールです。

 

 

 

① 道具は「1歩以内」に配置する(紐付きペン)

いざ書こうとした時にペンを探す、その3秒のロスが命取りです。バインダーには必ず紐付きのペンをセットでくっつけておく。これだけで「ペンがないから後で書こう」は消滅します。

 

 

② 「白紙」と「記入済み」をクリヤファイルで分ける

クリヤファイルを1枚バインダーに貼り付けておき、「これから書く白紙の用紙」と「今日書き終わった用紙」を入れる場所を完全に分ける。これだけで現場の「どれに書けばいいの?」という迷いがなくなります。

 

 

③ 記入する順番は「一方向」にする

記録をつけるとき、視線や書く場所が「縦・横・斜め」とあちこちに飛ぶ用紙は、非常に見づらくミスを誘発します。記入する順番は、上から下への「縦一列」、または左から右への「横一列」が鉄則です。流れるように書ける動線を作ります。

 

 

④ 年齢に合わせた「枠の縦の長さ」にする

ここが一番見落とされがちです。用紙の行の幅(枠の縦の長さ)は、働く人の年齢に合わせます。

20代の若いスタッフが多いラインなら「7mm」程度でも書けますが、ベテランの主婦パートさんが多いラインであれば、文字が小さくて見えないため、もっと枠を大きく広げてあげる必要があります。

 

 

⑤ バインダーの「金具」と「両面印刷の余白」を計算する

用紙の上部にバインダーのクリップで挟む場所(約2.5mm〜)や、ファイリングの穴あけ位置がありますよね。

 

ここに重要な記入欄やチェック項目が配置されている用紙が多すぎます。

 

クリップをぐっと持ち上げないと文字が見えない用紙は、それだけで現場に嫌がられます。 

 

 

さらに、用紙を「両面コピー」にするなら、裏面(または見開き)になったときのとじ代を計算して、

端から「1.8mm(1.8cm)」の絶対的な余白を作ってください。

 

 

これがないと、用紙をひっくり返したときに記入欄がバインダーの奥に巻き込まれ、絶望的に書きづらくなります。最初から「挟む場所」と「穴を開ける場所」には絶対に文字を置かない余白設計にしてください。

 

 

⑥ 「コピー(印刷)の手間」そのものを最小限にする

現場改善において、実は見落とされがちなのが「用紙を印刷・コピーするストレス」です。

 

現場の担当者やパートさんに「これ、なくなったらコピーしておいてね」と頼んでいませんか?

 

「製造に追われているのに事務所まで行って原本をさがしてコピーしなきゃいけない」

「インクが出ない、紙が詰まった…」これが地味に現場の時間を奪い、イライラの原因になります。 

 

 

この「名もなきムダ」を無くすために、1ヶ月分の用紙をあらかじめセット化した「月間パック」にして定位置に置くなど、「準備するとき」のストレスまで最小限にする仕組みを一緒に作ります。

4. 紙をなくす

「ペーパーレス記録」の選択

さらに、「そもそも紙に書くこと自体が限界」「保管するバインダーが多すぎて場所がない」という工場のために、

私のコンサルティングではタブレットやスマホを使った「ペーパーレス記録(電子化)」への移行もサポートしています。

 

 

ペーパーレスと聞くと、

「うちのベテランパートにはITなんて無理…」

「現場で文字入力なんてできない」と身構える社長がとても多いですが、

これも私の得意技である「小学生にも伝わる言葉への翻訳」を使えば大丈夫です。

 

 

「みなさん、普段から自分の携帯(スマホ)でLINEとか使えてますよね?だったら絶対にできます」

と私はお伝えしています。

 

 

もちろん、現場で仕事中に大量の長文をパチパチ打ち込ませるような、めんどくさい設定には絶対にしません。

 

基本は、画面を開いたら選択肢から選ぶだけ。

必要なときだけ、普段スマホを使っている感覚で「15」などの数字や、短い単語をサクッと打ち込むだけの設定にします。

 

紙がなくなる心配もなく、インク切れも紙詰まりもありません。

自動でデータが溜まるため、現場からも「紙のときより圧倒的に楽!」と大好評です。

 

もちろん紙の良さとデジタルの良さ、あなたの工場、作業に本当に合った方を一つずつ一緒に選びます。

5. まとめ

「現場が笑っているうちに

変わる」仕組みを

作りましょう

HACCPやJFSの記録は、会社を守るための盾であり、現場を楽にするための道具です。

決して、スタッフを監視したり、仕事を増やすためのものではありません。

 

機械を新しく買い替える必要はありません。

ペンの置き場所を1つ変える、枠の大きさを少し広げる、コピーの手間をなくす。

そんな小さな成功体験の積み重ねが、現場をガラリと変えていきます。

 

もし、「うちの工場の記録用紙、ごちゃごちゃしていて誰も書いてくれない…」

「どこから手をつければいいか分からない」と一人で抱え込んでいるなら、

まずは一度、現場のモヤモヤを私に整理させてくれませんか?

 

あなたの工場のレベルに合わせたチェックリストを持って、一緒に「これならできる」ルールを見つけにいきます。